カラダと運動の基礎知識

トレーニングを効果的に行うためには、カラダのこと動作の仕組みを知ることがカギ

筋肉系

人の体には、約600近くの筋があって、骨格筋、心筋、平滑筋の3つに分類することができます。

骨格筋

骨格筋は、一般的には「筋肉」と呼ばれていて、「使う」こと、つまり鍛えることによって、肥大し筋力増加となりますが、「使わない」と萎縮し筋力が低下するという性質を持っています。 また、骨格筋は自分が意識して動かすことができるため、「随意筋」とも呼ばれています。

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筋肉と言えば、先程のように体を動かすためのものだと思われがちですが、実はその他にも様々な働きをしていて、実は体温の保持に必要な熱は、約3分の2が筋収縮によって供給されています。

また、筋肉は外部からの衝撃を吸収する役目があり、体の骨や内蔵などを守っています。

ふくらはぎを鍛える

よく、ふくらはぎは第二の心臓だと言われますが、なぜそのように言われているのか知っていますか?

心臓は、全身に血液を送り出すポンプのような役割を果たしていて、大動脈に血液を流しています。 そして、静脈から心臓へと血液は返ってくるわけですが、この戻ってくる血液は心臓が引き込んでいるわけではなく、実はふくらはぎが、重力によって下半身にたまった血液を心臓に戻すポンプの働きをしているのです。

それ故、ふくらはぎが第二の心臓と呼ばれていて、ふくらはぎを鍛えることによってメリットはたくさん生まれてきます。

例えば、女性であれば、冷えやむくみに悩まれるかと思いますが、ふくらはぎを鍛えてあげるだけで、解消に繋がります。

もちろんがっつりと鍛える必要もなく、簡単なことから始めるだけでも効果は絶大です。 まずは、ふくらはぎをもんでみる、温めるということだけでも行うと、代謝が違ってきますよ!

心筋

心筋は、平滑筋と同様、自分の意識とは関係なく動いていて「不随意筋」とも呼ばれています。 文字通り、心臓を構成する筋肉のことです。

平滑筋

骨格筋や心筋が、外見上規則正しい横紋がみられる「横紋筋」であるのに対し、平滑筋は、筋節のない筋肉になっていて、疲れ知らずの筋肉です。

筋肉と骨は腱でつながっている

骨格筋、つまり筋肉は腱という強い組織によって骨と繋がっています。

ですので、骨格筋の両側は必ず腱となっているのですが、この骨格筋は両端にいくほど徐々に腱に変わっていき、骨につく部分で完全な腱となります。

ちなみに、この筋肉から腱へと変わっていく部分を「筋腱移行部」といいます。 まぁ、漢字そのままなので覚えやすいですよね。

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さて、さきほど腱は非常に硬くて強い組織だといいましたが、筋肉の場合は腱に比べ、非常に柔らかくなっています。

このことから、柔らかい「筋肉」が縮もうとしているときに、強い「腱」によって両側から引っ張られると、筋肉と腱の繋部分である「筋腱移行部」では筋繊維の断裂が起こります。 これが一般的には「筋肉離れ」と呼ばれています。

筋肉がまたぐ関節

殆どの筋肉は1つの関節をまたいで骨にくっついていて、1つの関節の運動を起こすだけですが、中には2つの関節を跨いで2つの関節の運動を引き起こす筋肉もあります。

代表的なのは、太ももの前側にある4つの筋肉が集まった大腿四頭筋の「大腿直筋(だいたいちょっきん)」で、これは骨盤からすねの骨にくっついていて、股関節と膝関節をまたいでいます。

また、「腓腹筋(ひふくきん)」は太ももの骨と踵の骨にくっついており、膝関節と足関節を跨いでいます。

筋肉を構成する筋繊維

筋肉というのは、筋線維と呼ばれる非常に細い繊維が集まって作られています。

その大きさは、直径0.02~0.1mm、長さ1mm~50cmまでの大きさで、この筋線維自体も、さらに細い筋原線維が集まって作られています。

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筋原線維の中には、アクチン・フィラメントとミオシン・フィラメントと呼ばれる2種類のタンパク質があって、1本のミオシン・フィラメントの周りを囲むようにアクチン・フィラメントが並んでいます。

アクチンフィラメントは、筋収縮を理解する上でとても重要で、細胞間の接着・細胞分裂・筋肉の収縮などに重要な役割を果たしており、アクチンフィラメントがミオシン・フィラメントの間に滑り込むようにして筋肉が収縮しています。

この仕組は、ミオシンにクロスブリッジと呼ばれる突起がたくさん並んでいて、筋肉に対して「力を発揮しろ」という命令が伝達されると、このクロスブリッジがミオシンを取り囲んでいるアクチンと素早くくっつき、アクチンを引っ張り込むように内側に引き寄せます。

つまり、ミオシンがアクチンを引き込む力によって、筋肉全体が短くなり、力を発揮していることになります。

さて、筋肉の動き方がわかったところで、ミオシンがアクチンを引き寄せるためのエネルギーってなんでしょうか?

ミオシンやアクチンが存在するだけでは、筋肉は動きません。 まず先程のクロスブリッジを動かすための力が必要で、この力は、筋肉の中にあるアデノシン三リン酸が筋肉の中にある酵素によって分解され、この分解される瞬間にエネルギーが生まれ、クロスブリッジを動かすのです。

アデノシン三リン酸

アデノシン三リン酸は、全生物界で広くエネルギー代謝の中心的役割を果している高エネルギーリン酸化合物で、生物体内のほとんどあらゆる場所に存在して重要な働きをしており、特に筋肉に多く存在しています。

アデノシン三リン酸は、ATPとも呼ばれていて、人が摂取した炭水化物、たんぱく質、脂肪は人体で消化吸収され、その分子は三つの段階(解糖、クエン酸回路、電子伝達)を経てエネルギー源としてのアデノシン三リン酸をつくります。

もし、このATPが不足すると、人はどうなるのでしょうか?

ATPが不足した場合、多くの慢性疾患を引き起こします。 そして、人間だけに関わらず、どの生物も、このATPが無くなると死に至ります。

つまるところ、私達が食事をするのは「お腹が空いたから」「美味しいものが食べたいから」という単純な欲求だけではなく、生体が生きていくため、生命維持や細胞活動に必要不可欠なエネルギー「ATP」を作り出すことが大きな目的なのです。